日本が誇る自転車部品メーカー「日東」の製造現場に潜入!

2025.11.20

先日、福島県二本松市にあるNITTOの製造現場「日東福島工場」におじゃましてきました。
今回はその製造現場のリアルを紹介します。


と、その前に・・・NITTOというブランドについてですが、 自転車に興味のある方だったら知っている方や使っている方も多いと思いますが、「NITTO」は株式会社日東という自転車部品メーカーのオリジナルブランドです。

伝統的な匠の技をもとに、金属チューブの曲げ、溶接、研磨などの加工技術を駆使して独自の商品(ハンドルバー、ステム、シートピラー、キャリア、サイクルスタンドなど)を生み出す、世界中のサイクリストから支持されている人気ブランドです。
競輪競技の認定パーツも生産しており、オリンピックのトラック競技でもNITTOのハンドルが使われています。
そんなプロからの信頼も厚いNITTO(日東)は大正12年創業、今年で創業102年の歴史あるブランドなのです!




そんな歴史あるブランドの工場内はどうなっているかと言いますと・・・

入った瞬間に漂う切削油の匂い。下町で育った自分にとっては懐かしく、小さい頃に見たかっこいい働く大人の姿がそこにはありました。

入ってすぐにお出迎えしてくれたのはこの機械たち。なにかわかりますか?

これはフレームの耐振性試験機を利用してのキャリア試験とハンドルの繰り返し荷重試験機。

キャリアは設定した重さに耐えられるか10万回振動を加えて動的強度試験を行います。



ハンドルの繰り返し荷重試験も10万回。
ロードのハンドルは40kg、MTBのハンドルは45kgの荷重をかけてテストを行います。


この厳しい試験をクリアしたものだけが日東の商品としてお店に並ぶので、ショップの店員さんも自信をもっておすすめできるし、皆さんにも安心して使っていただけるのです。


続いて見せていただいたのはキャリアの溶接。
職人さんが一つ一つ丁寧に低温ロウ付けで作っていました。低温ロウ付けは時間はかかりますが、低温で溶接することで母材の痛みも少なく強度を高く確保出来るのが強みです。何より溶接跡が美しく仕上がるのも魅力です。
溶接の台はクルクル回るようになっていて、手だけでなく、足も使いながら台を回転させながら溶接していきます。


そしてコレがロウ付けが終わったできたてホヤホヤのキャリア。

熱によって変化した金属の色と剥き出しの真鍮ロウの溶接跡が金色に輝いていてめちゃくちゃかっこいいです!
あまりにかっこいいので、このまま商品化できないか聞いてみましたが、錆止めを塗ったとしても使っていくうちにすぐ錆びてきてしまうそうで、製品としては難しいとのことでした。残念。。

そんな職人さんの匠の技が光るNITTOのキャリアですが、実は今、オリジナルのフロントキャリアを作ってもらっているところなのです。
そのキャリアについても書きたいのですが、ちょっと長くなり過ぎてしまうので、また別のブログで紹介しますね。

続いて見せていただいたのはシートピラーとヤグラをつける部分を圧接機でくっつけているところです。
作っていたのはS65という商品。創業65周年に作られた商品だから「S65」。NITTOのシートポストの中で最も売れている定番商品です。



この後くっつけた箇所の凹凸を削ってなめらかにしてから磨き上げます。
実際に販売されているS65はこちら。



鍛造アルミ合金なので剛性がありながら無駄がなくシンプルで美しいです。


そして最後にハンドルの製造現場へ。
まずはハンドルをベンダーで曲げていく様子。こんな感じで右が終わったら次は左といった感じで曲げていきます。


そしてそのハンドルを研磨するのですが、これが思っていた以上に重労働。
全部研磨の機械を使っていると思ったら、スチールタワシで一本一本ゴシゴシと。これはかなり疲れそう・・・。



さすがに全部手作業というわけではなく、機械を使った研磨もするのですが、、、
こんなに膝まで使って磨き上げてくれているなんて・・・なんだかもう感謝の気持ちでいっぱいです!!

日東は元々研磨工場として創業したそうです。だから研磨にはどこよりも思い入れやプライドがあります。
綺麗に研磨された商品を作り続けているのはそのようなルーツがあるからなんですね。

我が社でもブロンプトンなどで使えるオリジナルの小径車用ハンドルを作ってもらっていて、人気商品となっています。
ハンドルバー B222AAF 560mm φ25.4 (60mmUP) 小径車用


その人気の理由をショップに聞くと、仕上がりの美しさとNITTOブランドに対する安心感と答える方がほとんど。製品の本質がその人気の高さに繋がっているのです。

さて、今回の工場見学はここまで。
実際はメッキ工場などもあるのですが、生産スケジュールの都合で今回は見ることができなかったので、今後機会があればまたレポートしたいと思います。

日東の商品は一度在庫が切れてしまうと、次の入荷まで数カ月~1年以上時間がかかる製品もありますが、この製造現場を見ると、商品が入荷するまでのその時間は安全と安心に置き換えられるのだと感じます。
当たり前のように使っている日東の製品は、実はこんなにも慎重に、丁寧に時間をかけて作られているということをこのブログを通じて知ってもらえたら嬉しいです。

株式会社日東の皆さん、この度はありがとうございました!これからも胸を張ってNITTO製品を推していきたいと思います!

次回は弊社オリジナルのNITTO製ミニベロフロントキャリアを紹介するので、そちらも是非ご覧ください。



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