SMPの新世代フラットサドル “VTシリーズ”使ってみた

先日のブログでは、SELLE SMPのコンセプトを踏襲した新世代フラットサドル“F・VTシリーズ”についてご紹介をさせていただきました。
SMPのコンセプトを踏襲した 新世代フラットサドル "F・VTシリーズ"|ミズタニ自転車株式会社 (mizutanibike.co.jp)

今回は入社後にSMPサドルにハマり、日頃のロードツーリング~SDA王滝までSMPの大定番モデル“COMPOSIT”を愛用するスタッフJが、新世代フラットサドル“VTシリーズ”を実際に使ってみたレポートをご紹介します。VTシリーズのご紹介の前に、まずは独特なエルゴノミクスデザインが目を引くトラディショナルなSMPサドルの主な5つの特徴についておさらいします。

①Central Channel

座面中央に穴の開いたサドルは多くのブランドでも展開されていますが、座面先端のギリギリまで穴が空いているのはSMPだけ!会陰部および前立腺を圧迫しない大きな開口部は、通気性の向上だけでなく十分な血流を促し、神経・血管の圧迫を回避します。正しくセッティングする事で生殖器のしびれや痛みを軽減し、これは性別を問わず恩恵を受けられるSMPサドル最大の特徴と言えます。

②Support Area

特徴的な波打つベース形状は骨盤を最大限にサポートし、関節の不安定性を低減します。これによりペダリングが安定し、踏み込む力が強くなります。

③EAGLE BEAK TIP

鷲のくちばしの様な前下がりの形状は、低く深い乗車姿勢でも局部を圧迫せず、快適性を損なわないデザイン。前後移動を妨げず、最大限の自由度があります。

④Rear Depression

サドル後端に設けたV字の切れ込みは、尾骨を衝撃から保護するエルゴノミクスデザインとなっています。トラディショナルなモデルはサドル後端が反り上がっています。

⑤Rail

多くのサドルは2本のサドルレールで構成されていますが、SMPではワンピース中空ステンレス鋼を採用。高強度なレールが繋がっている事によりサドル後方のねじれを抑制し、安定したペダリングに寄与しています。また、優れた衝撃吸収性と高い耐久性を兼ね備えたレールは最大限に広い調整範囲を持ち、さまざまな体格のライダーに対応可能です。

実際にどれくらい調整範囲が広いのか、DMR oioi サドルと比較してみました。画像左がDMR、右がSMPです。


DMRのレールには2.5cm分のメモリがありますが、MAXでも5.5cmほどです。SMPのレールには8.5cm分のメモリがあり、その差は3cm。サドルの前後位置調整で30mmは大きな差ではないでしょうか?


余談ですが、カーボンレールモデルでもレールの上にパンチング加工を施したステンレスシートを巻くなど、軽さよりも耐久性を優先しているのは、SMPの実直なモノ作りへの拘りです。


長くなりましたが、このような特徴を持つSELLE SMPが放つ新世代フラットサドル。今回使用したのはVTシリーズの内、全長が少し短めなVT20CとVT30Cです。まず、真横から見るとこんな感じです。


せっかくなので、さまざまな角度から見てみましょう。ご覧いただきたいのは、従来のモデルと比べるとサドルトップは波打っておらず、横から見ると確かにフラットに見えるのですが、真一文字のフラットデザインではないという点。荷重の掛かるサドルベースの後方は幅を持たせつつ外側に向かって弧を描いており、先端から中央までは細くスッキリとデザインされています。これにより股関節の動きを妨げず、内ももの擦れを軽減し、スムーズなペダリングを実現します。また、サドルの先端ギリギリまで開口部が設けられているのがお分かりいただけると思います。(これはコンフォート系のパッドの厚いモデルも含めて、すべてのSMPサドルに共通しています。)


このVTシリーズを、4月開催の桜のアルプスあづみのセンチュリーライド(AACR)120kmと、近所のホームグラベル(藪漕ぎ)コースでテストしてみました。正直に申し上げると、COMPOSITを愛用している私にとって、AACRで走り始めた時は「可もなく不可もなく」といった印象でした。COMPOSITVULKORユーザー様なら特にご理解いただけるのではないかと思いますが、SMP特有のハマるスウィートスポットが見つけられず、悪くないんだけどハマらない、そんな印象です。ただし、100kmも乗っていると、これはこれで悪くない。SMPサドルを形容する時によく使われる、レーシングカーのバゲットシートに収まるかのようなのスウィートスポットこそ見つけられないものの、上記でご紹介した①③④⑤の特徴をもれなく有しており、長距離を乗っても疲れない、非常に快適なサドルでした。


そしてこれをグラベルでテストすると、その印象は良い方向に変わります。COMPOSITを使用していて個人的に気になる点は、MTBやグラベルで腰を引くシーンがあった時、サドル後端が反り上がっている為に元のポジションに戻る際に、度々引っかかってしまうという事でした。つまり前後移動に少し難ありな点です。しかし新しいフラットサドルでは、これまでのSMPサドルの後端が反り上がっているのに対して、サドル後端を下方向にカットしたようにデザインされています。これにより、不意に現れるドロップで腰を引くようなシーンでも難なく元のポジションに戻る事ができます。また、目まぐるしく変わる路面状況に合わせて細かな乗車ポジションの変更が必要となるMTBやグラベル、CXなどでは、体重移動・前後移動がこれまで以上に楽に行えます。SELLE SMPがサポートするオフロード系ライダーが新世代フラットシリーズを選択するのも納得です。VTシリーズの表面素材は汚れや擦れに強く、泥が付いてもさっと一拭きできれいになる点もポイントですね。


実際に試してみる前はデザインもSMPらしくないし、どうかな~と懐疑的に思っていた私ですが、使ってみると確かにSMPのコンセプトをしっかりと感じられる、新世代のSMPサドルでした。今回ご紹介したVTシリーズは、SMPサドルの人気定番モデルであり、初めてSMPをお試し頂く方にもおススメのHELLと同じく、比較的お求めやすいミドルグレードでありながら100% Handmade in Italy!


SMPを試してみたいけど何から試したら良いかわからないという方や、これまでのSMPの形状に苦手意識をお持ちの方は、ぜひ新世代フラットサドルをお試しいただければと思います。


細身のベースが好きな私はVT30Cより20Cが好みでしたが、こればかりはカタログスペックではわからないですよね。そんな時、弊社ではどなたでもお試しいただける貸出サドルもご用意しています。「試してみたい!」という方は販売店様までご用命ください。
 

SELLE SMPのブランドページはこちら↓
SELLE SMP セッレエスエムピー 日本オフィシャルWEBサイト|ミズタニ自転車株式会社 (mizutanibike.co.jp)
ブランド